サンライズ作品で育った世代としては、こうやって語り継がれる作品と、同じ時代を生きてきた事を幸せだと感じる瞬間だ。
作品部門では8位のGガンダムに注目したい。
これまでのリアル路線から、戦争や政治要素を別の角度から魅せてくれた新しいガンダムだった。
ガンダムというジャンルにスポーツ要素を取り込んだ挙げ句、ガンダムと名の付く機体がザコキャラとして出てきてしまう。
各国が開発したガンダムという機体でリングの上でガンダムファイト(銃火器okのプロレス)をするのだ。
もはやプロレスではないのだか、リングがあるので仕方がない。
国の威信をかけて戦うというバックボーンは、かろうじて政治が絡んでいる。ガンダムたる所以であろう。
今日のeスポーツに通じる所もあって、ビルドファイターズの原点とも言えるかも知れない。(プラモ狂四郎)
このGガンダムで強調されるのが上下関係だ。
強烈なキャラクターの師匠が物語を引っ張り、主人公の兄も進むべき道を示してくれる。
絶対的な先導役という意味では、オルフェンズに繋がる作品でもある。
そのオルフェンズは6位。最近の作品ではあるが、これもかなり異色である。とにかく暗い作品で主人公側がかなり無茶をする。さながら不良の集まりである。
1stで衝撃的だったオタク系主人公から真逆と言ってもいいだろう。
ZZの主人公はやんちゃといった感じて一線は超えていないのだが、オルフェンズはもうそういう団体というのを明確に出してきている。やんちゃでなくチンピラだ。
頑張って指定団体に入ってしまうのだ。ただのオタクがニュータイプという才能を花開かせて世間に溶け込んでいくという構図から真逆と言ってもいいだろう。
確かに貧困という問題があるにしても、あまりにも暴力的な発想ではないか? オルフェンズは!
そしてキャラクター部門が一番の衝撃だろう。
赤と白はもう正直どうでもいい。永久欠番と言う事で次回の参加は不要だろう。
注目は3位のオルガだ。
彼こそ、これまでのガンダムという人間ドラマを、大きく変えてしまったキャラクターだろう。
とにかく金を欲しがる。目的があっての事だろうけど、度が過ぎている。
ガンダムを盗もうとしたジュドーや、ガンダム、売るよと言ったガロードとはレベルが違うのだ。
金儲けの為に会社を作ってしまう。そこから大企業へと成長していく物語なのだ。
オルガという人物は簡単に挫折する。弱みを見せる。悩む。もう、指揮官とかリーダーと言うには色々スペックが足りないのだが、それを補っても余りある魅力が彼の持ち味だ。
細かい事を気にして生きなければいけない現代人にとって、この無謀さは、皆が求めていた成分なのかもしれない。
ガンダムはモビルスーツを使った戦いである。
どうしても、戦いに強いキャラクターに人気が集まるのは当然だ。
戦争という大きな戦いでも、戦闘という小規模な勝負でも、ランクインしているのは優秀なパイロットばかりである。
指導役リーダーという意味で、ガンダム作品の縁の下の力持ち的な立ち位置のブライトですら19位。
オルフェンズの主人公的存在の三日月に限っては14位である。
これはオルフェンズというガンダム作品はオルガの魅力が溢れすぎてしまったからに他ならない。
スマートに敵を撃ち抜く、狙い撃つ系の作品ではない。鈍器での殴り合いだ。このあたりの世界観もオルガの魅力を後押ししているのだろう。
物語の終盤は、調子に乗ったオルガが失敗して退場してしまう。
「お前ら止まるなよ」
という名台詞を残してだ。
もう、天然としか言いようがない。ブライトなら即時撤退を選んだ局面で、「行け!」と命じているのだ。
選択肢はほぼ残されていない状況で、行け! なのだ。
そうなのだ。進むしかない状況でウジウジ考えていても仕方がない。
俺のやり方でここまで来たから、今後もこれでやれ!
リスクヘッジとか相手の気持ちとか考えがちな現代人に、カツを入れてくれるような無謀さ。それこそが彼の魅力ではないだろうか。
3位という意味も、今の時代と照らし合わせると何となく理解できる。
これはオルガガンダムという作品でいいと思う。
次はモビルスーツ部門だ
SEEDのフリーダム系が2機体が上位に食い込んでいるのは理解出来る。
敵軍に鬼神の如く恐れられたガンダムという意味では、強さの象徴と躍動感は当然の結果だろう。
また、SEEDという作品は、旧世代から上手にガンダムを次の世代に渡したキーとなる作品でもある。
Z系の機体がトップ10にこれだけ入っているのも興味深い所だ。
百式はそこまで威圧感はないとしても、バイオリズム的に落ち込んでいたシャアにはピッタリな色である。
きっと風水とか頼ってしまったのでは? と思わせる人間味がある。
そして、キュベレイである。「ニュータイプ」と「女性」を完璧なまでに表現したフォルムは、ハマーンの髪型と相まって印象度バツグンだ。
Zガンダムに代表される可変モビルスーツが数多く出てきた作品の中で、変形しないこの2機体が上位に食い込んでいるのがとても興味深い。
また、ギャン、ドム、アッガイはビルドファイターズでの影響だろう。
黒い三連星、アカハナ、マ・クベ
the男の世界という印象を明るくポップなモノとして再構築した結果、原点に触れてみようという新しい層を開拓した意味は大きい。
40年というほぼ半世紀にも渡って受け継がれた作品である。
もうアニメの古典と言ってもいいだろう。
古典芸能に携わる私としては、今後も見逃せない。